法律コラム

人事労務管理の諸問題 ~採用編~

1 平成29年2月23日に世界保健機関(WHO)が全世界でうつ病にり患している人口が約3億2200万人と推計される(2015年時点)と発表しました。日本でも平成28年に厚生労働省が発表したうつ病等の患者数は約111万6000人とされています。

日本の総人口から考えると約100人に一人は何らかの形でうつ症状が出ているということになります。 (さらに…)

遺産分割での預貯金の扱い~最高裁判例が変わりました~

1 新聞にも大きく取り上げられましたが、昨年末、遺産分割に関して、重要な最高裁決定が出されました。簡単にご紹介します。最高裁平成28年12月19日大法廷決定です。

 

この最高裁決定で問題となったのは、「預貯金は、遺産分割の対象となるか」という点です。もう少し簡単に言うと、亡くなった方(被相続人)の財産であっても、遺産分割という相続人間での合意(協議)によって分けるべきものか、そうした合意によらずに分配・帰属するものか、ということが問題となったのです。 (さらに…)

不動産オーナーの節税術~不動産管理法人の活用~

 相続税の基礎控除額が引き下げられて、市街地に不動産を所有しておられるご家族では、相続税が心配だ、あるいは、納税資金確保のために不動産を手放すこともあるかもしれないという声を聞く事があります。内心はそう思っていても、なかなか節税策をすっきりひねり出せないものです。ただし、セオリーといったものはあり、知っているかいないかで、大いに先は違ってきます。 (さらに…)

贈与と税金のはなし-会社への贈与は要注意

「贈与と税金との関係」というと「贈与税」が頭に浮かんでくると思いますが、贈与は、会社をはじめとする法人も、贈与をしたり、贈与を受けたり(受贈)することは可能であり、個人、法人、贈与、受贈の組み合わせで問題となる税が異なってきます。 (さらに…)

介護をした分、相続で考慮されますか?~療養看護型寄与分の話~

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、新年最初のブログは、相続のお話をさせていただきたいと思います。

 

親族が亡くなり相続が生じたとき、どのように遺産を分けるかという遺産分割協議がなされることが通常です。その時、亡くなった方(被相続人と言います)の介護を行ってきた相続人から、介護での貢献を、遺産分割でも考慮してもらいたいという主張が出されることが、しばしばあります。 (さらに…)

2017年春施行される改正個人情報保護法の要点

 ビッグデータの利活用、すなわち個人情報(パーソナルデータ)の活用によって生まれる価値に注目が集まっています。そのニーズが高まる一方、企業による大量の個人情報の流出が報道される度に市民の不安は高まります。 (さらに…)

「筆界特定制度」をご存知ですか

はじめてこの制度の名前を耳にする人も多いことと思いますが、既に制度が発足してから10年が経過しています。これは、土地の所有者等からの法務局への申請にもとづき、筆界特定登記官という法務局の職員が、筆界調査委員の調査に基づく意見や関係者の意見を聞いたうえで、現地における土地の筆界の位置(土地の境界線)について判断をする制度です。

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グループホーム運営会社の刑事責任~近時の裁判例から~

1 超高齢化社会と言われる現在においては、多くの高齢者向施設が存在しています。しかし、その運営者としては、日々の運営にあたり、民事上・刑事上・労務管理上様々な責任を負うかもしれないという状況にあります。
そうした状況の中から、今回は、認知症対応型グループホームの運営会社の代表者が、業務上過失致死罪に問われた刑事事件を紹介したいと思います。 (さらに…)

パート職雇用契約の無期転換請求への対応は早めに取り組みましょう

企業にとって、この時期注意すべき雇用問題があります。パート職で雇用期間1年の労働者については、契約を4回更新すると5年間同一の労働契約を使用者と結ぶことになり、5年経過後に5回目の更新をして6年目に入った段階で、そのまま1年間の労働契約を更新するのか、あるいは期限のない無期労働契約に転換するのかを選択する権利が生じます。 (さらに…)

知財侵害物品の水際での取り締まりについて

模倣物品の輸入は、年を追うごとに急増しており(その90%以上は中国からのものです)、各メーカー、輸入業者の方々もその対策に頭を悩まされていることと思います。

 

模倣品対策としては、後に述べるような裁判手続を利用する方法もありますが、より簡易かつ強力な対策として、関税法に基づく税関当局による輸入差止めという方法があります。 (さらに…)

公平な裁判を行う場所について~近時の最高裁判例から~

1 訴訟国家のアメリカでは、どこの州で裁判を行うのかが、陪審員裁判の勝敗の大きな分かれ道として、映画や小説で描かれています。今回は、最近出された最高裁判例を題材として、刑事事件における裁判員裁判の公平さということとはどういうことなのか、考えてみたいと思います。採り上げるのは、管轄移転の請求事件についての、平成28年8月1日最高裁第二小法廷決定です。 (さらに…)

災害への備え-企業にとってのBCP-

このところ日本列島に毎週のように災害が起きています。台風で激甚災害指定がなされるなど、災害への備えは台風の通り道であり、地震や津波警報がほぼ毎週なされている日本では、日常的な備えこそ大切です。 (さらに…)

離婚と住宅ローン債務の解消方法

Q:このたび、夫と離婚をすることになり、婚姻中に購入した分譲マンションは、夫が住み、私は家を出て、ローンの支払いは夫が続けていくということで合意しました。マンションは夫名義で、マンションのローンはまだ、大部分残っていて、夫と私が連帯債務者となっています。夫はちゃんと払っていくと言っており、そのことは離婚の際に書面でも確認してもらうつもりです。夫も住んでいる以上は、ちゃんと住宅ローンを支払っていくと思いますが、こうした対応で十分でしょうか。 (さらに…)

後見人の権限が変わります~民法が改正されました~

1 今回は、最近成立しました、民法改正について紹介します。

この改正により、成年後見人(以下、単に「後見人」と言います。)が①被後見人宛の郵便の送付を受けることと、その郵便の開封ができること、②被後見人の死後に一定の事務を行うことが出来ること、が定められました。

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寄与分~先行する相続での「放棄」は寄与分となるのか?

(設例)

父が亡くなり、遺産分割で、私と母は、それぞれ1000万円程度の現金をもらい、兄は、自宅や田畑で1億円程度、現金で1億円取得するということで、遺産分割協議をしました。このとき、母は、兄夫婦と同居し、今後、母の面倒は兄夫婦が見てくれるという前提で、母も私も、わずかな遺産相続で了解をしておりました。ところが、お定まりの嫁しゅうと関係の悪化で、1年もしないうちに、母は出てきて、私のところで同居しております。その後、兄が急逝してしまいました。兄夫婦には子どもはありませんでした。

このような場合に、母の相続分を決めるにあたって、母が本来の相続分の大部分を実質的に放棄していることや、母の面倒を十分に兄がみていないといったことは、配慮されるのでしょうか。 (さらに…)

司法取引制度の導入に向けて、企業が気をつけることは

先の国会で刑事訴訟法の一部改正がなされ、「司法取引」が導入されることになりました。時代に即した新たな刑事司法制度を構築するための法整備のあり方について、長らく調査審議された上での立法化です。取り調べへの過度な依存を改め、適正な手続の下で、供述証拠および客観的証拠をより広範囲に収集することができるようにするための証拠収集手続の適正化・多様化を念頭に策定されてきたと言われています。 (さらに…)

組織再編と税務署長の「否認」

課税の問題は企業活動では常に気を配るべき重要な事柄のひとつです。

できれば、法人といえども課税は少ない方がよいに決まっています。

 

憲法は、84条で、租税法律主義を定めています。

国家権力による恣意的な課税を許さず、民意を反映した国会の議決による法律によって、定めるという近代憲法の柱の一つです。 (さらに…)

面会交流をさせないと不法行為になる?~近時の裁判例から~

1 今回は、別居している親子の面会交流について、少し前に出された裁判例を紹介します。熊本地裁平成27年3月27日判決とその控訴審である福岡高裁平成28年1月20日判決です。

この裁判は、調停で決められた夫と子どもの面会交流を妻側に拒否されたために精神的苦痛を受けたとして、夫が妻と妻の代理人弁護士に慰謝料請求をした事案です。 (さらに…)

患者が「説明された」「同意した」と納得できるインフォームドコンセント

1.はじめに

インフォームドコンセントが、医療に当たって重要なものであることは、医療にかかわる人のみならず、患者・家族側にも浸透して来ていることは、争いのないところです。しかし、医師や医療機関の側では、未だ、とにかく同意書を取っておけば、後で裁判になっても大丈夫、といった感覚でいる人も少なくありません。そのような発想から、エセ・インフォームドコンセントとでも言うべき、極端に防衛的な運用に接することもまだまだ少なくありません。 (さらに…)

社員の兼業(副業) ~ 違反を問うか、それともコントロールか

多くの企業では、就業規則上、会社の許可無くして他社での兼業を禁じています。一方、最近では、企業業績は悪くないという話もありますが、近年の賃金水準は横ばいか下がっているという状況もあり、また、クラウドサービスやインターネットの活用によって、副業も容易にできるという環境もあり、サラリーマンによる副業(兼業)が増えていると聞きます。週末起業などという言葉も耳にするようになりました。 (さらに…)

交通事故の賠償請求 Q&A

今回は、下記の交通事故の賠償請求に関し、Q&Aでご説明します。

・内縁関係の妻は交通事故で死亡した夫について賠償請求ができるかどうか

・相続放棄と交通事故の賠償請求について   (さらに…)

デイサービス送迎時の事故と自動車保険の適用

1 今回は、最近出された最高裁判決の中から、老人デイサービスの送迎時(降車時)の事故に関する最高裁平成28年3月4日第二小法廷判決をご紹介します。

 

2 事案の内容

デイサービスを利用していたAさん(当時83歳。提訴以前に死亡。)が、当該デイサービスセンターの送迎車から降車する際に骨折し、入院治療を受け、後遺障害も残りました。そこで、Aさんは送迎車両にかけられていた自動車保険の搭乗者傷害特約(後程説明を補足します。)に基づいて、保険会社Bに入院治療費を請求し、支払を受けました。さらに、Aさんが後遺障害保険金の支払いを請求したのが、本件裁判です。 (さらに…)

オリンピックエンブレム問題に学ぶ・・営業マンにも著作権の研修は必要です

 昨年7月発表された旧エンブレムが盗作騒動で白紙撤回されてから8ケ月。4月26日、東京オリンピック2020の新エンブレムが決まりました。旧エンブレムの発表からすぐにベルギーのリエージュ劇場のロゴマークと似ているとそのマークのデザイナーから指摘があり、7月末には国際オリンピック委員会と日本オリンピック委員会に対して、エンブレム図柄の使用差止めを求める文書が送付され、納得がゆく回答が得られないということで、8月にはIOCをベルギーの裁判所に提訴しました。著作権侵害がその主張の内容ですが、どこにでも起きうるエンブレムやロゴマークのトラブルには注意が必要です。ある意味では、日本での著作権に関する無防備さや知識の無さを露呈した騒動であったともいえるのではないでしょうか。 (さらに…)

不良債権の処理は早すぎず遅すぎずに

小規模事業者や中小企業の会社の決算書を拝見すると、長年回収出来ていない売掛金が計上されていることがあります。

 

不良債権でも、売上計上により、その発生年度で、所得として法人税を納付したり、消費税を納付しており、できれば、これを損金として処理することにより、税部分の資金負担を解消したいものです。法人税や消費税の税率を考えると(法人税実務税率35%、消費税8%)、不良債権も損金で処理できれば、税負担の取り戻しで、半分近くが資金回収できることとなります。 (さらに…)

人身傷害保険と賠償請求との関係

自動車保険に人身傷害保険が附帯しているときには、交通事故の被害者になった保険契約者が、自らの契約保険会社に人身傷害保険金の請求をすると、一定の基準に従って、保険金が支払われます。その支払い基準は、保険会社により異なっていますが、加害者に対する賠償請求の基準と比べると低い基準となっています。 (さらに…)

交通事故の示談にあたっては過失相殺にも気を配って下さい!

交通事故の被害に遭った場合、加害者側が任意保険に加入していれば、保険会社の担当者と示談交渉をすることになりますが、保険会社の方からは、事故にあたっては、被害者の方にも落ち度があるので、一定割合を過失相殺(かしつそうさい)するといわれることがあります。 (さらに…)

JR事故最高裁判決を読む~認知症高齢者に対する監督責任~

1 先日、第一審から世間で注目されていた裁判の、最高裁判決が出されました。認知症高齢者の鉄道事故に対する親族の責任を争った事案に関する、最高裁平成28年3月1日第三小法廷判決です。 (さらに…)

職務発明制度の見直しをお忘れなく!~ガイドラインの施行で会社と発明者従業員の関係はどう変わる~

昨年7月に職務発明に関する改正を含む特許法の改正法が公布され、その施行が平成28年4月1日に予定されています。新しい法律では、まず①「使用者は規則をあらかじめ定めることにより、従業者のなした職務発明について特許を受ける権利を原始取得することができる」と使用者帰属制度を導入し、ともすれば、発明の権利の帰属が不明瞭なまま推移し争いになる不安定性を解消しようとしています。また、②「特許を受ける権利を使用者に取得させた発明者(従業者)は、使用者に対して、相当な金銭その他の経済的利益を請求する権利を有する」とし、発明者に相当の利益の支払請求権を認めています。③相当対価を決定するための手続きに関する指針(ガイドライン)が4月1日に経済産業省告示として公表されることになりました。 (さらに…)

遺産分割と寄与分

今回は「寄与分」の話です。

相続人の中に、身分関係、親族関係から見て、通常期待される以上に、「被相続人の財産の維持又は増加に、あるいはその扶養に、特別の寄与があった者」があるときは、相続分に寄与分額を加算するもので、法定相続分による割合を修正するものです。 (さらに…)

遺産分割と特別受益

今回は、「特別受益」の話です。

相続人の中に、生前に遺産の前渡しとなるような多額の贈与を受けた人がいる場合には、相続人間の公平を図るためには、こうした贈与の額を相続財産に加算して、遺産の分割をすることになります。 (さらに…)