歩きスマホ、法律的にも、危険です!

1 ここ数年、スマートフォンが急激に普及していますが、それに伴い、色々な問題も生じてきていると言えます。特に、歩きながらスマートフォンを操作する、いわゆる「歩きスマホ」については、現在その問題点や規制についての議論が進められています。

昨年末に一般社団法人電気事業者協会(TCA)が発表した『「歩きスマホ」の実態および意識に関するインターネット調査について』によれば、調査対象者の44.8%が「歩きスマホ」を普段からしており、また、3人に1人は「歩きスマホ」で他人にぶつかりそうになったことがあるとのことです。

 

2 「歩きスマホ」をしていて実際に起こった事例としては、駅のホームから転落して負傷ないし電車に轢かれ死亡、他人にぶつかって転倒させるなど負傷させる、などがあります。

これらの事例について法律問題を考えると、次のように言えるでしょう。まず、他人に怪我をさせたりすれば、民事上は治療費等について不法行為として損害賠償請求が考えられますし、刑事上も過失致傷罪の適用が考えられます(「歩きスマホ」をしている場合には、過失を否定することは難しいと思われます。)。民事上の損害賠償について補足すると、相手に後遺障害が残ってしまうようなケースでは、高額の賠償金が認められることもあります。また、駅のホームに転落したようなケースでは、人身事故が発生し鉄道ダイヤに影響を与えることがあれば、通常の列車事故と同様に、本人や遺族が鉄道会社からの多額の損害賠償請求を受けることが考えられます。

便利さや面白さといった点が重視されがちなスマートフォンの利用ですが、このような法的問題や責任が発生するということは、しっかりと意識しておかなければなりません。また、歩行時だけでなく、自動車や自転車の運転時にも、スマートフォンを操作するという人がいますが、より重大な事故を招きかねないことは改めて言うまでもないことかと思います。

 

3 以上のような現状を踏まえて、最近、条例等で「歩きスマホ」規制を行うことも検討されているようです。条例による規制としては「歩きタバコ」の規制が一つの参考になると思われますが、喫煙と携帯電話の利用とは、同列に考えられない性質の違いがあるでしょうし、どこまでの行為を規制の対象とするかの線引きは、なかなか難しいところではないでしょうか。

なお、アメリカ合衆国ニュージャージー州フォートリーでは、実際に歩きながらスマートフォンでメールをする行為を禁止する条例が制定されており、違反者は85ドル徴収されるそうです。

 

4 スマートフォンの利用は、現在では生活に欠かせないものという風潮もあり、様々な規制がされることで不便を感じることになる人も多いのではないでしょうか。

そうだからこそ、利用によって生じうるリスクについても認識し、適切な利用を心がけていくべきと思います。

(上杉謙二郎)