お住まいのマンションの民泊利用を禁止するには?

先日、日本人女性が、アメリカ人観光客の滞在していた民泊施設の一室で、監禁され、バラバラ遺体となって見つかったという痛ましい事件がありました。事件の容疑者は、約1か月前に日本を訪れ、個人宅やマンションの空室などを宿泊用に提供する民泊施設を転々としていました。

 

容疑者が、被害者女性を誘い込んだ大阪市東成区の施設や、頭部遺体の見つかった同市西成区の施設は、無許可営業のいわゆる“ヤミ民泊”でした。現在の法規制では、反復継続して対価(宿泊料)を得て人を宿泊させる場合には、原則として旅館業法の許可が必要となりますが、その許可をとらずに行われているのが“ヤミ民泊”です。

 

この“ヤミ民泊”は、ホテルのように、チェックインの際に必ず人の目があるというわけではなく、例えば、郵便受けを通じてカギの受け渡しを行うなど、直接誰とも会わずに宿泊することが可能です。宿泊に際してパスポートの提示等も必要とならないため、日本を訪れた外国人等にとっては便利である反面、宿泊者に匿名性が確保される結果、テロや不法滞在、また覚せい剤等の受け渡し場所となるなど様々な犯罪の温床になってしまう危険性を孕んでいます。

 

そのため、多くの住民は、犯罪に巻き込まれたり、生活の平穏が害されないよう近隣の住宅や自らが居住しているマンションの一室が民泊として利用されることを避けたいと考えるでしょう。

 

ところで、日本政府は、観光立国を目指し、平成32年までに訪日外国人旅行者数を4,000万人に、平成42年には6,000万人に増やすという目標を掲げています。そして、訪日客の急増に伴い、宿泊施設の不足が懸念されるようになってきました。そこで、近年訪日客の宿泊の重要な受け皿として注目されているのが民泊です。国は、民泊事業に関し様々なルールを定めトラブルの防止を図るとともに、民泊の利用を促進し、適正・健全な民泊サービスの普及を図るため、住宅宿泊事業法を制定しました。

 

平成30年6月15日には同法が施行され、従来国家戦略特別区域内に限られていた民泊サービスが、行政への届出手続きにより全国で可能となります(同法第3条第1項)。事業届出受付は、平成30年3月15日から開始されます。

 

したがって、自らが居住しているマンションの一室が民泊として利用されることを避けたいと考えた場合、マンション管理規約に、民泊利用を禁止する旨の定めが必要となります。

 

マンションの管理規約においては、これまでも、風俗営業などに利用されたり、店舗として使用されたりすることを避けるため、専有部分の用途として「専ら住宅として使用するものとする」といった規定が設けられていることが多いのですが、民泊については、上記の規定では足りず、明確に民泊を禁止している定めを置いていなければ、事業の届出が受理されることになると解されています。

 

そのため、民泊を明確に禁止する規定、例えば、「区分所有者は、その専有部分を住宅宿泊事業法第3条第1項の届出を行って営む同法第2条3項の住宅宿泊事業に使用してはならない。」などの規定を、改めてマンション管理規約に追加しておく必要があります。

 

マンションにお住まいの方で、民泊利用が気になる方は、一度ご自身のマンションの管理規約を確認するようおすすめします。もし、このような定めがない場合は、規定を設ける必要があります。

 

なお、マンション管理規約の改正には、区分所有者数および議決権総数の4分の3以上の賛成(特別決議)が必要となります。(石田美果)