あなたも確定申告が必要!?~メルカリユーザーとビットコイン利用者の確定申告義務~

1.はじめに

最近では、サラリーマンの方でも、メルカリ等で不用品を売ったり、ビットコインの取引をしたりして副業収入を得ている人が増えています。このように副業収入があるサラリーマンは、副業収入の合計金額が20万円を超える場合には確定申告が必要になります(所得税法121条1項1号、同法120条1項)。なお、確定申告書は国税庁HP「確定申告書作成コーナー」で作成することができます。

以下では、確定申告の必要の有無を検討する前提として、ビットコインやメルカリでの収入などの副業収入の所得金額がどのように計算されるか検討します。

 

 

2.メルカリ等での不用品売却についての所得金額

まず、売ったものが生活の用に使用される家具、道具・器具、衣服などの生活に通常必要とされるものの場合、その利益は非課税とされます(所得税法9条1項)。このため、テレビやパソコン、古着、30万円以下の腕時計、ネックレスなどを売った金額は、副業収入の合計金額の計算上無視されます。なお,反復継続してメルカリでの取引を大量に行っている場合などには業として取引を行っているとして事業所得や雑所得とみなされ課税される場合もあります。

他方、これらに当たらない商品(例えば、趣味で購入したバイクや高値で売ることを目的としたアイドルグッズやプレミア品、30万円以上の腕時計や指輪やネックレスなど)を売る場合には、譲渡所得が発生します。

譲渡所得の金額は、売った金額の合計額から、売ったものの取得費(購入時の価格)と譲渡費用(送料・販売手数料等)の合計額を差し引き、さらに、50万円を差し引いたときに残った金額のことをいいます(所得税法33条3項、4項)。これが副業収入の所得金額に計上されます。

 

 

3.ビットコイン取引による利益の課税

(1)所得の種類

次に、ビットコインを使用することにより利益が生じた場合について、国税庁のタックスアンサーでは、「ビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます」と述べられています(国税庁HP タックスアンサーNo.1524 「ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」)。

つまり、ビットコインを使用しているときに発生した利益と損失は雑所得として副業収入の所得金額に計上されます。

(2)計算方法

では、ビットコインは価値が大きく変動するようですが、どのように利益と損失を計算し、副業収入の所得金額を計算すればよいのでしょうか。(以下は、一つの見解であり、国税庁の公式見解ではありません。)

まず、ビットコインとは特定の国による価値保証のないインターネット上のお金です。このため、ビットコインは価値変動の激しい外貨預金と考えることができると思います。

したがって、ビットコインを使用することにより生じる損益は、外貨預金に生じる為替差損益(1ドル100円の時に100ドル預金したが、1ドル120円と円安となった場合に生じる2000円の利益)に類似しています。

このため、外貨預金口座からの払出し時に収入すべき金額が実現したものとした国税不服審判所平成28年6月2日裁決は、ビットコインの損益にも妥当すると考えられます。

つまり、ある年中にビットコインの取引口座に10万円を預入、同額で購入したビットコインの価値が10倍に値上がりし、100万円になったときに日本円で売却し払い出したときに90万円のビットコインを使用することによる利益が生じたことになります。そして、再度同年度に50万円をビットコインの口座に預入し50万円分のビットコインを購入したものの価値が10万円まで暴落した場合には、ビットコインを使用することによる損失が生じます。

この場合の、雑所得の金額の計算(所得税法35条2項2号)は、総収入金額(100万円+10万円)-必要経費(10万円+50万円)となり、雑所得として副業収入の所得金額に計上される金額は50万円となると考えられます。

このように、1月1日から12月31日までにビットコイン口座から払い出した金額の合計額と預入金額の差額が雑所得の金額として副業収入の所得金額に計上されることになるものと思われます。

では、値上がりしたビットコインを利用して商品を購入した場合はどのように課税されるでしょうか。この場合は、ビットコイン口座からの払い出しが現金ではなく、物で払い戻されたと考えられます。

そして、金銭以外の物を得た場合について、所得税法36条1項は収入として計上すべき金額を、その物の時価と考えています。このため、ある年に10万円を預入して100万円に値上がりしたビットコインで、時価60万円のテレビを購入し、残りのビットコインは口座に入れたままの場合は、総収入金額60万円-必要経費10万円の50万円が雑所得の金額として副業収入の所得金額に計上されることになると考えられます。

 

 

4.ビットコイン取引で年間を通じ損が出た場合

所得税の計算は、様々に発生する利益を給与所得、不動産所得、事業所得、譲渡所得などに分けてそれぞれの方法で計算し、これらを一定の方法で合算して税率をかけて行います。例えば、通常サラリーマンが会社から受ける給料は、給与所得に該当します。

また、副業として行うメルカリでの販売、ビットコイン取引などの利益は上記のとおり雑所得に区別されます。

では、1月1日から12月31日の間のビットコイン取引において損が出て、雑所得がマイナスとなった場合、本業の収入による給与所得と打ち消しあうことは可能なのでしょうか。

このようにマイナスの出た所得とプラスの所得を一定の順序で打ち消しあうことを、「損益通算」というのですが、雑所得を他の給与所得、不動産所得、事業所得、譲渡所得などと損益通算することはできません(所得税法69条1項)。

 

 

5.おわりに

今年中にメルカリなどの売買を何度も行い一定の利益を上げている方や、既に何度もビットコイン口座からの払い出しをした方は、一度、雑所得の金額がどれだけ生じ副業収入の所得金額がいくら生じているか計算しなおしてみてはいかがでしょうか。(西脇健人)