介護をした分、相続で考慮されますか?~療養看護型寄与分の話~

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、新年最初のブログは、相続のお話をさせていただきたいと思います。

 

親族が亡くなり相続が生じたとき、どのように遺産を分けるかという遺産分割協議がなされることが通常です。その時、亡くなった方(被相続人と言います)の介護を行ってきた相続人から、介護での貢献を、遺産分割でも考慮してもらいたいという主張が出されることが、しばしばあります。

 

これは、「寄与分」という問題なのですが、おおまかに言えば、被相続人の財産の増加や維持に特別の貢献をした相続人については、その貢献分を法定相続分(法律上定められている取得分)に上乗せして、相続人間の公平を図ろうという制度です。その中で、相続人の介護や看護を行った場合を特に、「療養看護型」の寄与分と呼んでいます。

このように、法律上の制度として寄与分は定められているものではありますが、以前は、主張をしてもなかなか裁判所から認めてもらえることが難しいとされてきました。ところが、近時、裁判所レベルにおいても、寄与分の主張が認められやすくなってきているという状況もにわかに聞かれるところであり、高齢化社会と呼ばれる昨今の事情も相まって、注目されています。

 

療養看護型の寄与分が認められるためには、「被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の寄与」が必要とされますが、これを判断するための要素としては、一般的に、①療養看護の必要性、②特別の貢献、③無償性、④継続性、⑤専従性、といった要素が挙げられます。さらに、相続人の貢献が、被相続人の財産の増加や維持と関連すること(因果関係)も必要とされます。

 

個別の要素についての説明は、今回は省略させていただきますが、おおまかに言えば、一定の介護を要する状況の下、無償で介護に従事し、それが一定期間継続しなければならないということです。また、そうした状況での介護に従事したということは、後々客観的に証明をしなければいけませんので、介護保険に関する各種資料や、日々の介護の状況を記した日記などの資料を準備することが必要になってきます。従前から、一定の記録化を図っておくことも重要と思います。

 

なお、どの程度の寄与があったか、という金銭評価の問題については、介護保険の報酬額を基準とした介護の日当額に療養看護日数を掛け、さらにそれに裁量的な割合を掛けて算出するという方法が、裁判所でも用いられているようです。

 

このお話につきましては、平成29年3月にセミナーを開催して、寄与分が認められるための要素の検討など、もう少し詳しい内容にも触れていきたいと思いますので、興味のある方は、是非ご参加ください。セミナーのご案内は、ホームページに載せていきますので、ご確認いただけますと幸いです。 (上杉謙二郎)