法律コラム

契約書ひな型と契約約款の違い、そして両者の活用の利便性と注意点

インターネットや書籍に取引契約書のひな型が載っていることがあります。実際企業間でよく行われている取引に関しては、契約書のひな型が使われることがあります。ひな型をベースにドラフトを作ることは時間と費用を節約することのほかに、検討すべき項目の漏れを防止するという意味で有用だともいえますが、取引の実態に合うかどうかについて、ひな型との違いに気が付かないことがないか、また、ひな型に引きずられて検討すべき懸念事項、将来発生するかもしれないリスクの分析がおろそかになっていないか、などに気を付ける必要が多いにあります。 (さらに…)

中高年の結婚には「夫婦財産契約」をおすすめします

「夫婦財産契約」という言葉を聞いたことがありますか。

トム・クルーズが2012年に3度目の離婚をするに際して、婚前契約(プレナップといいます。)をしていたから、財産分与が安く済んだ(それでも12億円!前の奥さんのニコール・キッドマンとの離婚のときは90億円!?)といった芸能情報から、聞いたことがある人もいるかもしれません。

 

日本で民法の定める「夫婦財産契約」というのは、結婚にあたって、予め、夫婦の財産関係(婚姻費用の負担、財産の管理や処分、離婚にあたっての財産分与の方法、内容、分与の割合等々)について、夫婦間で取り決めをするということです。 (さらに…)

あなたも確定申告が必要!?~メルカリユーザーとビットコイン利用者の確定申告義務~

1.はじめに

最近では、サラリーマンの方でも、メルカリ等で不用品を売ったり、ビットコインの取引をしたりして副業収入を得ている人が増えています。このように副業収入があるサラリーマンは、副業収入の合計金額が20万円を超える場合には確定申告が必要になります(所得税法121条1項1号、同法120条1項)。なお、確定申告書は国税庁HP「確定申告書作成コーナー」で作成することができます。

以下では、確定申告の必要の有無を検討する前提として、ビットコインやメルカリでの収入などの副業収入の所得金額がどのように計算されるか検討します。 (さらに…)

危険な運転から身を守るには~あおり行為への対処法と裁判例~

1 最近、高速道路の追い越し車線上で後ろを走る車両を強引に停車させ、その結果として後続車両の追突を誘発したという事件が、ニュースとなっています。二人の死者を出していることからも、世間の注目を集めています。

高速道路に限らず、危険な幅寄せやあおり運転をされてしまった場合、どのように対処すべきかは非常に難しいところがあります。上記のような事件を聞くと、安易に停車することも躊躇されますし、かといって、高速度で逃げる、急な右左折や転回をする、というのも危険が伴う運転行為と言わざるを得ません。

 

少し前の裁判例ですが、あおり行為から逃げるための速度超過運転が、道路交通法違反で起訴された事案(札幌高裁平成26年12月2日判決)を紹介し、検討をしてみたいと思います。 (さらに…)

フィンテックの活発化に伴う法整備について

フィンテック(FinTech)とは、Financial(金融)とTechnology(技術)を融合させた造語であり、「IT技術を用いた金融商品・金融サービスの広がり」という意味合いで用いられています。フィンテックの一例を挙げると、ネットバンキングや仮想通貨(ビットコインなど)、電子決済などが挙げられます。

IT技術を用いることで、従来の金融サービスには必要不可欠であった大量の支店やATMネットワークなどが不要となり、より柔軟な金融サービスの提供が可能となるため、近年ビジネスチャンスが拡大していると言われています。その反面、従来の法規制では十分でない点も多く、わが国ではフィンテック関連の法整備が進められています。

以下、その一例についてご紹介いたします。 (さらに…)

待ったなし!有期契約社員の労働契約を無期転換へ

労働関係法規の改正には気を使いますが、忙しいと対応が遅れがちです。労働契約の無期転換ルールは、全ての企業が原則的には2018年3月までに対応が迫られている事項です。 (さらに…)

「グレーゾーン解消制度」の活用 

何か新しい事業を行うとき、または新しいビジネスモデルを思いついたとき、既存の法令による規制にひっかかるのではないかと心配されることがあると思います。このような時に、「グレーゾーン解消制度」の利用をお勧めします。 (さらに…)

公認会計士・税理士 稲垣清氏の事業承継に関するセミナー案内

稲垣氏は、会計士として事業承継案件を多数扱われており、また、当日は、株式会社日本M&Aセンターの部長の講演もあり、中小企業の事業承継を考えている自営業者の方々にとって有益なお話が聞けるものと思います。

詳しくは、下記をクリックし、参加ご希望の方は、申込書を打ち出して頂き、FAXにてお申し込み下さい。

 

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従業員の不正で、法人に重加算税!?

税務調査の過程で、従業員や役員の不正が発覚する場合があります。企業側としては、放置していればさらに損害額が大きくなったかもしれず、税務調査のおかげで、食い止められ、万々歳!…というわけにはいきません。通常、このあと、担当官から、法人の収益計上漏れがあり、青色申告も取り消され、重加算税の対象となるといわれることが多いのです。経営者としては、何の得にもなっていないのに、そんな馬鹿な!と思うことになりますが、どうしてそういうことになるのでしょうか。 (さらに…)

事業承継や相続対策に役立つ家族信託をご存知ですか?

高齢化の進む中、財産管理や財産承継のために、信託を活用することが注目を集めています。信託とは、財産を持っている人が、自分が信頼できる人に財産を託して、自分の目的に沿って、その財産の管理や処分などの行為をさせ、その財産自体や財産から出た利益を、自分が指定した人に帰属させる仕組みのことです。委託者や受託者の死亡や後見開始、破産、差押え等に影響を受けることなく、受益者のために信託を継続することができます。また、財産を委託する委託者がかなり自由に信託の内容を定めることができるなどのメリットがあります。 (さらに…)

事業承継100のリスト

我が国は、急速に高齢化社会を迎え、今や中小企業の経営者のピーク年齢は、66歳となっています(2015年)。

ところが、中小企業庁の調査では、事業承継の準備を余りしていない、全くしていない、その必要を感じないと回答した人が60代で6割、70代で5割、80代でも4割存在するということです。

まだまだ働けるという気力の反映と捉えれば、好ましいことではありますが、事業承継といっても、どこから手をつけていいのか分からず、面倒だとして、先送りにしているという面も否定出来ないのではないでしょうか。 (さらに…)

人事労務管理の諸問題 ~違法残業と刑事罰等~

平成29年7月12日に電通の労働基準法違反罪に関し,略式起訴が不相当とされ,正式裁判が行われることとなりました。略式起訴とは簡単にいうと100万円以下の罰金・科料に相当する事件の場合に,被疑者の同意があれば,罰金の支払いとともに即時に釈放されるという制度で,ドラマで観られるような法廷で裁判が行われるわけではありません。しかし,今回は過去の例からすれば罰金相当と考えられる事件について,略式起訴ではなく電通の社長が代表者として法廷に出頭する必要がある正式裁判が開かれることになりました。 (さらに…)

新しい消費者契約規制のポイント~消費者契約法が一部改正されました~

1 昨年6月3日に、消費者契約法の一部を改正する法律が公布され、本年6月3日から施行されました。消費者契約法は、消費者と事業者の間の交渉力や情報格差等を背景に、消費者の利益を擁護するため、平成12年に成立した法律です。

しかし、その後の社会や経済の状況の変化(高齢化の進展に伴う高齢者の消費者被害の増加、情報通信技術の発達、民法(債権法)改正議論)に伴い、平成26年から法改正の必要性が議論されてきました。そうした議論の結果が、本改正における改正点になります。 (さらに…)

120年ぶり民法債権法改正 成立、大きく変わる契約ルール

民法債権法が平成29年5月26日の参議院本会議で賛成多数で可決し成立しました。6月上旬頃に公布、公布から3年以内の政令で定める日(平成32年4月以前)に施行されます。おととしの3月末の国会提出から2年2ケ月かけて審議され、120年ぶりの抜本的な改正となりました(民法債権編(債権法改正案)、189閣法63号及び64号)。
債権法の分野は、いわば、お金のやり取りを伴う契約のルールを定めた法律、改正の要点は大きくは次の通りです。改正項目は、多岐に亘りますが、その中から、5つのポイントをお知らせします。 (さらに…)

贈与税における「時価」とは

贈与税における財産の価額については、相続税法で、取得時の「時価」によるとされています。

但し、その時価評価の方法については、直接法律では定められておらず、納税者間の公平の確保、納税者、課税当局の便宜や時価評価のための経費の節減といった観点から、国税庁は、財産評価基本通達を定めて、この通達に従って実際の評価が行われています。 (さらに…)

新たな解雇法制~不当解雇の金銭的解決制度~

日本における労働者の解雇というものは,使用者が自由に解雇できるものではなく,客観的に合理的理由を欠き,社会通念上相当であると認められなければその解雇は権利の濫用として無効とされてしまいます(労働契約法16条)。
もし解雇が無効とされたらどうなるのでしょうか。 (さらに…)

遺産分割での預貯金の扱い~最高裁判例が変わりました~【その2】

1 本年2月のブログでも紹介しましたが、昨年末、遺産分割に関して、重要な最高裁決定が出されました。(2月23日付ブログ:遺産分割での預貯金の扱い~最高裁判例が変わりました

 

この最高裁決定では、平成16年の最高裁判決によって示された、可分債権である預貯金債権は、相続開始時に当然に分割されて各相続人に帰属するため、遺産分割の対象とならないという従来の見解を変更し、普通預金、通常貯金及び定期貯金債権は、いずれも相続開始と同時に当然に相続人に分割されることはなく、遺産分割の対象となると判断しました。

 

そして、本年4月に、上記最高裁決定に関連する最高裁判決(最高裁平成29年4月6日第一小法廷判決)が出されましたので、ご紹介します。 (さらに…)

改正個人情報保護法施行迫る!-個人情報の保護に一層の対応を

新年度のスタートで、いろいろな法律やルールの変更が気になります。特に注意すべきことに、2017年5月30日から改正された個人情報保護法が施行されますので、これへの対応が重要です。 (さらに…)

「相続させる」遺言と遺贈

推定相続人に何かの遺産を残したいというときは、「~に相続させる」という遺言の文言により、物件等の特定に問題がなければ、その遺言に基づいて(但し、自筆証書の場合は、裁判所の検認手続を経て、検認済の証明が遺言書自体に添付されていることが必要です。)、取得した人が、単独で相続登記や預貯金の解約等をすることができます。

(さらに…)

人事労務管理の諸問題 ~採用編~

1 平成29年2月23日に世界保健機関(WHO)が全世界でうつ病にり患している人口が約3億2200万人と推計される(2015年時点)と発表しました。日本でも平成28年に厚生労働省が発表したうつ病等の患者数は約111万6000人とされています。

日本の総人口から考えると約100人に一人は何らかの形でうつ症状が出ているということになります。 (さらに…)

遺産分割での預貯金の扱い~最高裁判例が変わりました~

1 新聞にも大きく取り上げられましたが、昨年末、遺産分割に関して、重要な最高裁決定が出されました。簡単にご紹介します。最高裁平成28年12月19日大法廷決定です。

 

この最高裁決定で問題となったのは、「預貯金は、遺産分割の対象となるか」という点です。もう少し簡単に言うと、亡くなった方(被相続人)の財産であっても、遺産分割という相続人間での合意(協議)によって分けるべきものか、そうした合意によらずに分配・帰属するものか、ということが問題となったのです。 (さらに…)

不動産オーナーの節税術~不動産管理法人の活用~

 相続税の基礎控除額が引き下げられて、市街地に不動産を所有しておられるご家族では、相続税が心配だ、あるいは、納税資金確保のために不動産を手放すこともあるかもしれないという声を聞く事があります。内心はそう思っていても、なかなか節税策をすっきりひねり出せないものです。ただし、セオリーといったものはあり、知っているかいないかで、大いに先は違ってきます。 (さらに…)

贈与と税金のはなし-会社への贈与は要注意

「贈与と税金との関係」というと「贈与税」が頭に浮かんでくると思いますが、贈与は、会社をはじめとする法人も、贈与をしたり、贈与を受けたり(受贈)することは可能であり、個人、法人、贈与、受贈の組み合わせで問題となる税が異なってきます。 (さらに…)

介護をした分、相続で考慮されますか?~療養看護型寄与分の話~

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

さて、新年最初のブログは、相続のお話をさせていただきたいと思います。

 

親族が亡くなり相続が生じたとき、どのように遺産を分けるかという遺産分割協議がなされることが通常です。その時、亡くなった方(被相続人と言います)の介護を行ってきた相続人から、介護での貢献を、遺産分割でも考慮してもらいたいという主張が出されることが、しばしばあります。 (さらに…)

2017年春施行される改正個人情報保護法の要点

 ビッグデータの利活用、すなわち個人情報(パーソナルデータ)の活用によって生まれる価値に注目が集まっています。そのニーズが高まる一方、企業による大量の個人情報の流出が報道される度に市民の不安は高まります。 (さらに…)

「筆界特定制度」をご存知ですか

はじめてこの制度の名前を耳にする人も多いことと思いますが、既に制度が発足してから10年が経過しています。これは、土地の所有者等からの法務局への申請にもとづき、筆界特定登記官という法務局の職員が、筆界調査委員の調査に基づく意見や関係者の意見を聞いたうえで、現地における土地の筆界の位置(土地の境界線)について判断をする制度です。

(さらに…)

グループホーム運営会社の刑事責任~近時の裁判例から~

1 超高齢化社会と言われる現在においては、多くの高齢者向施設が存在しています。しかし、その運営者としては、日々の運営にあたり、民事上・刑事上・労務管理上様々な責任を負うかもしれないという状況にあります。
そうした状況の中から、今回は、認知症対応型グループホームの運営会社の代表者が、業務上過失致死罪に問われた刑事事件を紹介したいと思います。 (さらに…)

パート職雇用契約の無期転換請求への対応は早めに取り組みましょう

企業にとって、この時期注意すべき雇用問題があります。パート職で雇用期間1年の労働者については、契約を4回更新すると5年間同一の労働契約を使用者と結ぶことになり、5年経過後に5回目の更新をして6年目に入った段階で、そのまま1年間の労働契約を更新するのか、あるいは期限のない無期労働契約に転換するのかを選択する権利が生じます。 (さらに…)

知財侵害物品の水際での取り締まりについて

模倣物品の輸入は、年を追うごとに急増しており(その90%以上は中国からのものです)、各メーカー、輸入業者の方々もその対策に頭を悩まされていることと思います。

 

模倣品対策としては、後に述べるような裁判手続を利用する方法もありますが、より簡易かつ強力な対策として、関税法に基づく税関当局による輸入差止めという方法があります。 (さらに…)

公平な裁判を行う場所について~近時の最高裁判例から~

1 訴訟国家のアメリカでは、どこの州で裁判を行うのかが、陪審員裁判の勝敗の大きな分かれ道として、映画や小説で描かれています。今回は、最近出された最高裁判例を題材として、刑事事件における裁判員裁判の公平さということとはどういうことなのか、考えてみたいと思います。採り上げるのは、管轄移転の請求事件についての、平成28年8月1日最高裁第二小法廷決定です。 (さらに…)